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あけましておめでとうございます。

今年のコラムは短くスカっといきましょう! との編集長からのお達しなので、 なるべく簡潔に書いてみることにする。年末最後の原稿では、なんだか気負っ てしまったので、今回は少しお気楽な昔話から…。
大学生の時に美術学科の友だちと一緒にバンドを組んだ。僕の通っていた大学 は、石を投げればバンドマンに当たる…ってなもんで、多くの学生がバンドを 組んでいた。

高校時代から腕に自信のある奴が多く、○○高校のリッチーブラックモアとか、 ○○町のキースエマーソン…みたいな連中が、キャンパス内をウロウロしてい た。当然プロのバンドのコピーをしても、テクニックで勝てるはずがないので、 バンドを組んでいきなりオリジナル曲を作った。当時の風潮ではオリジナルの 曲を作るアマチュアバンドは極めて少数派だった。

僕がバンドを組んだ1979年はニューウエーブ全盛時で、テクニックよりも新鮮 なアイデアが歓迎されるという時代だった。実際に僕らも、そんなイギリスの バンドに影響され、シンセサイザーを多用したテクノ風(あるいはウルトラボ ックス)のバンドを作って活動していた。ちなみに僕らのバンドは、それなり に人気が出て毎月関西のライブハウス3〜4軒でライブをしていた(東京や名古 屋にも遠征したこともあるんだよ)。

バンド活動後期は、僕がフロントマンになりバンドのためのオリジナル曲を作 ったりもした。当時はローランドのTR-606というリズムボックスと、ポリシッ クス(シンセサイザー)、それに4チャンネルカセットのテープレコーダーが あれば、オリジナル曲を作成することができた。

もちろんボク自身、作曲の勉強なんてしたことないし、まともに譜面も読めな かったのだが、それなりに音楽らしきものを作ることができたのである。大学 4年の時に、そのデモテープをロック雑誌のコンテストに送ったら、最終選考 まで残ってしまったのだから、まあ、ちゃんとした音楽だったのだろう。もち ろんそれで一番びっくりしたのは本人だけど。

その作業が楽しくて、機材を買うために大学時代はバイトばかりしていた。ち なみに両親に「車の免許を取るから金くれ」と言って、親からせしめた金でシ ンセサイザーを買ってしまったので、僕は未だに車の免許を持っていない(そ れも2回も同じことした…なんという放蕩息子なのじゃ)。

デザイナーとして社会人になっても、シーケンサーやらエフェクトなどを買い 漁り、バンド活動(というか音楽作り)はかなり長く続いた。バンドは何度も 解散したり、新しく組んだりもしたけど、自分の音楽がやりたいから、ずっと 長い間続けていた。

そう、モノ作りをする上で出来がどうのこうの…って考える前に、自分が楽し める作業、没頭できる作業に遭遇できる…ってことは幸せなことなんだよな。 曲を作る時は、大雑把なコード進行だけ決めておいて、まずはリズムを打ち込 む。ここで通常のドラムでは考えられないようなドラミングも、気にしないで 色々なリズムを組み合わせていく。次にそれをサポートするためのシーケンス パターンを複雑に組み合わせる。そしてベース。アウトラインが固定されてき たら、鍵盤の白玉をかぶせる。あとは印象的なオブリガードを連発する。

気に入らなかったら、リズムのパターンだけ、あるいはシーケンスパターンを 組み換える。とにかく、自分の頭の中で描いた音楽に向けて、自分の持ってい るすべての引き出しから、ありったけのアイデアをコラージュしていくような 感覚だ。
そんな感じで、オリジナル曲を30曲くらい(未完成を入れるともっとあるけど ね)作ってしまった。とにかく毎日仕事を終えてから深夜までずっと音楽を作 り続けていた時期がある。

それから10年近くたって、僕はMacintoshで仕事をするグラフィックデザイナ ーになっていた。そこで時々行うデジタルコラージュというか、画像合成の作 業に出会った時、その頃の音楽作りの手法が頭の中で蘇ってきた。色々な写真 を組み合わせる作業で、Adobe Photoshopのレイヤーでの構成は、前記の音楽 作りの手法に極めて良く似ていると感じた。

音楽でもそうだ、ありったけの素材を入れて仕上げにかかる作業。Photoshop のレイヤーの整理は、音楽のミックスダウンに似ている。またシーケンサーで 作成した音楽の小節を入れ替える作業とレイヤーの入れ替えも似ている。さら に仕上げのエフェクトも同様である。丁寧に作り込んだものに、勢いよく派手 なエフェクトをぶちかます感覚は、画像合成も多重録音も同じだ。

その作業はさらに5年後、Webサイト構築という仕事に出会った時にも、同じよ うな感覚が頭の中で蘇ってきた。またまたさらに5年後。つまり昨年、僕はノ ンリニアビデオ編集に出会ったのだが、言うまでもなく、そこでも同じ感触が 頭の中を支配していたのである。
実際に文章にしてしまうと、自分でも嘘臭い…と思うが(笑)似ているのは具 体的にどうのこうの…ではなく、本当に感触というか、頭のなかの問題。だか ら分かってもらえなかったらゴメンだけど、何人かは頷いている方もるだろう。 無理やり結論付けてしまうと「組み立てること」のおもしろさを理解すれば、 クリエイティブはもっと楽しくなる…ってことかな。

※この原稿は日刊・デジタルクリエイターズに掲載したものです。

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