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日本橋で60GBのハードディスクを購入して、仕事場のMacintosh G4/400に取り付け、さっそくAppleのFinalCut Proをインストールする。はじめて操作するソフトウェアだが、自分にとってはAVIDのメディアコンポーザーを操作したことがあるので、なんとなく直感で操作できそうな気になる。

まず、旅行と娘の運動会だけにしか使っていなかったSONYのDVで撮影した素材を、G4に取り込む。本当はOKカットだけをチョイスして取り込めばいいのだが、めんどうくさいのでそのままキャプチャする。キャプチャしてびっくり!なんと1ファイルが10GBもあるファイルがあるではないか!今までWebデザインで1ファイル10〜30KBのデータを扱っていた自分とは感覚が全く異なることに唖然とする。

DTPで画像合成を行っていた時でも、10〜50MBが平均ファイルサイズだった。…まったくデジタルデータってのは、仕事の内容によってこんなにも扱いが変わるものなのだ…と改めて感心する。

そんな調子でキャプチャを繰り返し、最終的に60GBのハードディスクは、残り32GBとなってしまったのである。1時間のビデオを作るのになんという浪費か…!と笑いたければ笑え、こっちは初心者で恐いものなしだ(笑)なんといっても60GBで4万円という、腰砕けの価格がこうしてデータの浪費をしているのではないか…と思うことも実際にはあるのだが。
すべての素材を入力したあとは、FinalCut Proで荒編集を行う。3ポイント編集はメディアコンポーザーと同じ感覚だ。初めてのソフトウェアだが、それほど苦労せず、2日ほどで編集を終えた。

次にナレーション録りを行う。荒編集した映像を見ながら、DVに向かってナレーションを入れるのである。本来ならば、ちゃんとシナリオを考えて読むのが一般 的なのだが、コンピュータの操作をしたのも僕本人なので、なんだか改めてシナリオを書くのがめんどくさくなり、そのままぶっつけ本番でいくことにする。

実際には、これが一番大変な作業だった。今までに何度も何度も講演やセミナーを行ってきたので、喋ることには慣れている…と自分では思っていたのだが、改めて自分の喋りを聞くと、大赤面 の大反省である。不明確な発声や、支離滅裂でつじつまの合わない解説が連発している。とくに発声については、自分の癖を直すのが大変だ。僕の場合には「タ行」の発声が弱いことがよくわかった。
今回のビデオは、低予算でなんとか1本仕上げるというのが、目標の一つである。今までこのビデオに対して投資したものは、撮影用の液晶モニタ。60GBのHD。FinalCut Proの3つで金額的には26万円くらい。ナレーションもビデオカメラの内蔵マイクで音を拾う方法で行っていた。録音にかかった日数は3日。すべて録音を終了し、音声データをFinalCut Proにキャプチャして愕然とする。

3日に渡って行った音声データのそれぞれのボリュームが大きく異なっているのである。ビデオカメラの内蔵マイクを使ったので、カメラの置く場所によって音量 が異なるのだ。音量だけなら、ビデオ編集時になんとか調整できるのだが、内蔵マイク故に音量 と同じように、音質も変わってしまうのだ。つまり周囲のノイズの成分が微妙に異なっているためだろう。

そこで、マイクを購入する決心をする。翌日楽器屋に足を運んで、シュアのヘッドセットマイク(セミナーでよく使っているやつね)を購入する。さすがにシュアだけあって3万円が飛んでいく。大学時代バンドをやっていた頃と値段が変わっていない。この辺は前回のハードディスクの価格でびっくりして、もうちょっと安くなっているのでは?と期待したのだが(笑)

そして、今までの音声データをすべて録音やり直し!さすがに何度もやってきた行程なので、今まで3日かかった作業が1日で完了する。そして音声データをFinalCut Proに取り込んで本格的な編集を行うことにする。ここまででかかった日数は7日。前回も話したように撮影に3日。そして録音に4日である。次回この作業を行うのであれば、多分4日、多くても5日あれば素材を用意することはできるだろう。

編集作業で一番大変だったのは、音声データの修正だ。なにしろぶっつけ本番で喋っているものだから、かなり大変。何よりも映像データに合わせて、音声と映像の両方をトリミングして調整する作業に時間を要する。音声の場合などでは「ここで」「マウスを」「クリックします」という別 々のコトバをトリミングして合成したりするノンリニア編集ならではのごまかしも頻繁に登場する。最終的に仕上がったテープで、僕はまるでロボットのように話をしているのがわかる(笑)

映像データも同じようにごまかしの連発だ、コンピュータで時計が回っているような箇所はすべてトリミングでカットしてしまう。おそらくこの映像のなかで使用しているコンピュータは、市販されているどのMacintoshよりも処理能力が早い(笑)。逆に映像の時間を伸ばすには、静止画像を何秒かインサートしたりもする。

さらにオープニングのムービーやジングルのアニメーションや、音声、テロップやキャプションなど細かに仕上げていく作業は大変だけど、何か手を入れるごとに「ビデオ映像らしく」仕上がっていく充実感は言葉では表せない。やっててよかったクリエイターって感じだ。

僕にとってのMacintoshによるデスクトップビデオ編集の大きなメリットは、やはりデータの互換性の高さだ。編集作業中のFinalCut Proのバックグラウンドでは、FlashとFireworksがスタンバイしていた。

特に大活躍したのは、テロップやキャプションを挿入するために使用したFireworksだ。FinalCut ProではFireworksのPNGデータをそのまま読み込むことが可能だ。Fireworksでドキュメントのキャンバスカラーを透明にすれば、グローやドロップシャドウのデータもそのまま綺麗に透かした状態でビデオ合成ができる。またFireworksのスタイルをテロップやキャプションの種類別 で用意し、一発で属性を適用させるワザも今回改めて感心した次第だ。もちろん、フレームレートを秒/30に設定して作成したFlashアニメーションがQuickTime書き出しによってFinalCut Proで動く美しさは感動以外の何ものでもない。

もともとFinalCut Proは、マクロメディアの製品として開発され、Appleに里子に出されたものである。この辺の互換性の高さは当たり前なのかもしれない。(ちなみにFinalCutがマクロメディアからリリースされていれば、FreeHandも含めて『F』ばかりのプロダクト名称で面 白かったのに…と思ったりもする)

そんなこんなで、ビデオは完成直前である。もともとは某印刷会社の社内教育用に作成したビデオだったのだが、これをこのまま一般 にも市販することが決定した。『Fireworksビデオトレーニング・基礎編1』というタイトルで販売します。まだ販売経路とか流通 とかは現在未確定なのだが、詳細が決まり次第、僕のサイトか、デジクリで報告しますね。シロートが作った割には、分かりやすい…と評判なんスよ(自画自賛モード)

とにかくビデオ編集作業もラストスパート。この作業を通じて森川は、いちクリエイターとして「なんでもやればできるもんだ」を改めて実感しました。

※この原稿は日刊・デジタルクリエイターズに掲載したものです。

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