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シリコンカフェは1995年の10月にスタートしました。1995年と言えば阪神大震災の年です。その年、兵庫県芦屋市に住んでいた森川は、震度7の烈震で自宅の仕事環境が一旦崩壊したのです。そして同年4月に震災復興事業の企画書を作成し、兵庫県尼崎市のインキュベーション・センターに「ディジタル・クリエート工房」という施設を提案しました。
それまでDTP(デスクトップ・パブリッシング)を本業にしていた私は、新しい仕事のジャンルであるウェブに興味を持ちました。そして、そのインキュベーション・センター内で知り合ったIT企業のスタッフにHTMLを教えてもらい、同年10月にはじめてのホームページを作成しました。
それがシリコンカフェのスタートです。
1995年の流行語のひとつに「インターネット」というものがあります。それは阪神大震災で神戸大学が「ALIVE」というメッセージを発信したことで、大きく取り上げられ、実際に被災地の私たちにとっても、インターネットは何か復興のシンボルのようなものでありました。
私は、この年の夏にはじめてHTMLを教わりました。教えてくれたのは、パイナップルカンパニーという会社に所属していた武頼庵 S.寧尊という変なガイジン(笑)。彼に「森川サンってば、HTMLもろくに書けへんのかいな」と言われ…私は意地になって、HTMLを書いたことを記憶しています。
その後、1995年10月にはじめて「シリコンカフェ」をスタートしたのです。(その当時の日記は、まだシリコンカフェに保存されています)
その翌年6月に、現在のドメインを取得。当時は個人でドメインを取得するってのは、けっこう無謀というか、よくわからないというか…まあそんな感じだったんですが、なんとかノリでやってしまったことを記憶しています。
1996年にドメインを取得してG-TOOLというサービスを立ち上げました。G-TOOLは、個人向けの画像素材を提供するサービスで、現在もサイト内で継続しています。
このサービスを開始した3日後、私はウェブサイトを所有するということを身をもって体験しました。それまでの個人のホームページは、1日に10人くらいの訪問者しかいませんでした。それがG-TOOLという素材集というサービスを開始した途端、1日に100人、1000人、10000人、1000000人という具合にどんどんアクセスの桁があがっていくのです。
それまで、自分が作業用に使っていたマシンをサーバーにしていたのですが、とてもじゃないけど、作業の兼用が無理。
ガンガン増え続けるアクセス。そしてガリガリガリガリガリ!!!!というハードディスクのけたたましい音。まさにその音ことそが私にとってのウェブ体験だったのです。
G-TOOLは、関西という地域で仕事をしていた私にとって、大きな変化を与えてくれました。何しろ1日に10万ページビューを記録するサイトなのです。色々なアプローチが私のもとへ届けられました。G-TOOLはウェブサイトから、秋葉原や日本橋のコンピュータショップで販売する素材集になり、G-TOOLをベースとして会社が作られました。
その会社ではクリエイター(主にグラフィック)向けのサービスを行いました。サイトを立ち上げ、日刊のメールマガジンを配信しました。その中で私は常に等身大の自分で居るように務めてきました。1995年から書き続けてきた日記のコンテンツをはじめとして、多くのコンテンツや、メールマガジン、メーリングリストを運営してきました。
関西で仕事をすることに何の障害もないということを知ったのもウェブだったのです。
デザイナーとしての私が、ウェブサイト制作に熱が入っていたのは言うまでもありません。特に1997年にマクロメディア(当時、現在はアドビシステムズ)からリリースされたFireworksとの出逢いは、私にもうひとつの道を見つけてくれました。
Fireworksを使いこなす事によって、執筆やセミナーの依頼が増え、結果として私は「教える事」という行為に向き合うようになりました。それはセミナー講師だけでなく、大学で学生に向けてウェブを教えるということにも繋がっていくのです。
1997年のFireworksはウェブデザインに画期的な手法をもたらしました。それはテーブルレイアウトというもので、Fireworksさえ操作する事ができればHTMLのことは知らなくても、誰でもがグラフィカルなウェブページを作成することができるのです。
しかし、これは本来のウェブの伝達の手法からは外れています。現在はテーブルレイアウトは過去の遺産になっていますが、1997年から2003年あたりまでは、この手法が極め一般的なウェブ制作のワークフローでした。当然、シリコンカフェ・ドット・コムもFireworksを使ったテーブルレイアウトを使い続けてきました。
ところが2003年の春、米国でHOTWIREDというウェブサイトが、テーブルレイアウトを使わずにCSSだけでレイアウトするサイトを公開しました。これがウェブ・スタンダードが一般に知れ渡った事件だったと思います。
本来ウェブページはHTMLでは文書構造を遵守した情報を記述し、視覚的な要素はCSSを使うことがHTMLの使用方法としてW3Cが推奨しているものであったのです。しかし、実際に2003年あたりまでは、その方法にブラウザが対応していないということがあり、理想と現実との差が生じてしまったわけです。その理想と現実とのギャップを埋めたのが、2003年春の出来事。同じ2003年に米国マクロメディアのウェブサイトがフルCSSで公開されました。
シリコンカフェも、この動きにいち早く反応し、2003年の末にはフルCSSレイアウトでウェブサイトをリニューアルしました。
現在、デザインスタジオとしてのシリコンカフェはあまり活動していません。というよりも実装者(デザイン及びマークアップ)としてのシリコンカフェは、現場から遠くなっているのが事実。今までデザインやマークアップにかけていた時間を、仕事としては設計や構築などのプロデュース、あるいはコンサルティングという内容の仕事を多く行っています。
そういった、意味で、今回のシリコンカフェ・ドット・コムのリニューアル(2007年12月)は、実装面で特に実現したいことがあるわけではなく、視覚的な部分に於いても、色々なギミックは全く不要で、重要なのは利用者の方々に最適なサイト遷移を提供し、情報を解り易く伝える事だと思っています。
ウェブサイトのあるべき姿。それはサイトを見て頂く方々に適切な情報を提供すること。正しく伝える事。それだけです。そういった意味では、あまりにも肥大化したサイトを、今後どのように情報整理すればいいのかを考えていかなくてはなりません。
また、プレーンな状態のサイトであればあるほど、コンテンツが重要になります。伝える中身。これを今後ももっと吟味して、そこに時間を割くべきであると考えています。
さらに、この数年間で「Web2.0」というキーワードがあるように、現在のテクノロジーやサービスはじゃんじゃん使って行かなくてはならない。とはいえ、いまのウェブの利用者の方のスキルや環境を考えてみると、単に先端だけを走ることだけではいけない。そのあたりの自分の立ち位置なども今後のシリコンカフェ・ドット・コムの運用と合わせて考えていこうと思っています。